こんにちは。
小学校受験でおなじみの受験対話総合研究所の平野伸明です。
今日は、女子高校生たちとの勉強会がありました。
使った教材は、上智大学経済学部の入試問題です。
アメリカにおける人種差別の内容でした。
「受験対話」では、子どもたちが、「ことば」と向き合ったときに、
ただ、文字を追いかけ、わかった気になるのではなく、
子どもたちが、「心を動かしながら、相手のメッセージを受け取れるように」と願いながら、
レッスンの内容を考えています。
今回の勉強会には、東京大学のジョンが参加してくれて、
文章の解釈の手伝いをしてくれました。
この時にジョンが、アメリカ人なら誰でも知っているという
野球の話で、アメリカの人種差別について語ってくれました。
その一部を紹介します。
大リーグで、黒人プレイヤーが活躍するきっかけをつくったひとりの黒人選手についての話です。
その名は、ジャッキー・ロビンソンといいます。
アメリカ大リーグは、1876年に始まり、
その後、71年間は、選手は、白人だけだったのだそうです。
では、その頃、黒人たちは、どのように野球をしていたのか。
黒人だけの、ニグロリーグというのがあった。
ニグロリーグの選手たちは、大リーグの選手とは、待遇があまりにも違っていて、
古く汚れたバスで、10時間、15時間と揺られて遠征地に行って、すぐに、ダブルヘッダー。
そしてまた、10数時間バスで移動して、また試合をする。食事も宿舎も粗末なものだった。
1940年代に、大リーグのチーム、「ドジャース」のオーナーが、
「プロ野球は、プロのいいプレー、いいピッチングをたくさんお客さんに
見ていただいて、プロのスピードとテクニック、パワーを見せるのが、つとめだ。
そのためには、白人だけではなく、いい選手ならニグロリーグからも、採用すべきだ」と発言した。
すると、全米各地から、ものすごい反発があった。
「もし、ドジャースが黒人選手を採用するなら、
遠征で来たときに、ドジャースの選手をホテルに泊まらせない」とか、
「もし、黒人選手を入れたら、球場のどこかから、狙撃する」などなど。
しかし、当時のドジャースのオーナーは、大学時代に、黒人同級生が、真夜中、
「なぜ、俺の肌はこんなに黒いんだ」と、爪で肌をかきむしっている姿を見てから、
絶対に人種差別をしてはいけないという、堅い信念を持っていたので、
ジャッキーロビンソンと、若い投手の2人の黒人選手を採用した。
ところが、敵は、チーム内にもいた。
「ドジャースの選手は、黒人の選手を差別してはいけない」
とオーナーが通達をだしたにもかかわらず、
他の選手、監督、コーチは、2人の黒人選手とは口もきかなかった。
また、その年のオープン戦での移動中の話。
お昼を、ある店でとることになったが、その店の主人が、
「白人選手は入ってもいいが、黒人選手は、外で待っていてくれ」と、
2人の黒人選手の入店を断った。
ジャッキー・ロビンソンと、その若い投手は、何も食べずに、外で待っていた。
そんな2人の姿を見ながらも、他の選手、監督、コーチは、誰も声をかけなかった。
(まだまだ、ジョンの話は続きました)
こんな状況の中、その年、ジャッキー・ロビンソンは、「新人賞」に輝き、
毎年のようにオールスター戦にも出場し、ワールドシリーズでも活躍した。
なぜ彼は、これほど、がんばることができたのか?
そこには、ジャッキー・ロビンソンのやる気を呼び起こし、
がんばるきっかけになった「ことば」があったのです。
「感動」のあるレッスン!
ジョンの話を聞きながら、女子高校生たちは、涙を浮かべていました。
人種差別というものの勉強とともに、人間の心をやる気させたり、させなかったり、
「ことば」というものの価値を、改めて見直す機会になったのです。
紙に書かれている内容を、子どもたちは、どれだけ実感できるのでしょうか。
文字を追うだけの表面的な解釈で、わかった気になってしまう子が、あまりにも多い。
これでは、「ことば」に込められたメッセージを読み取ることができません。
今の子どもたちは、「感動する体験」が少なすぎます。
他人から話を聞き、「心を動かす体験」もなさすぎる。
「受験対話」で勉強する子どもたちには、レッスンを通じて、
心を動かしながら相手のメッセージを受け取ることができるようになり、
「他人の痛みがわかる子」に育ってほしいと思っています。
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