こんにちは。
小学校受験でおなじみの「受験対話総合研究所の平野伸明です。
今回のタイトル、「食事のときに、してはいけないことは何ですか?」は、
ある有名私立小学校の入試の面接で、子どもに出された質問です。
そこで、ふと、思い出したのですが、
サマセット・モームの短編小説に、こういうのがありました。
愛し合った二人が結婚式をあげた。
一夜あけた朝、新妻は、朝食にオムレツを作った。
ご主人は、ひと口食べると、にがい顔をした。
「まずい、おふくろのオムレツはこうじゃなかった」と言って、
あとは食べようとしない。新妻はベソをかく。
それが始まりで、二人の仲はうまくいかなくなり、結局、別れることになった。
しかし、別れてみたものの、お互いに愛し合っていることには変わりない。
二人は、また一緒に住むことになる。
朝、またオムレツが出された。主人は、それを口にして、
「まずい、おふくろの方が…」と言いかけて、思わず口に手をあてて、
出かかった言葉を押さえた、という話です。
二人のその後の生活は、最後の一行に暗示されています。
この小説の教えていることは、夫婦生活というものは、
新しい食生活が始まることでもある、ということでしょう。
育ちも環境もちがう二人が、同じ料理を食べ始めるわけです。
今までの食生活の違いをどのように調整して行くのか。
家族が目指すところは、一面から見ると、
「共通食をたくさん見つけることだ」ということになるのかも知れません。
子どもたちにとっては、この共通食が、お母さんの味になるわけです。
小学校入試の面接では、普段の家庭での様子を知りたい先生方が、
食事に関する質問をよくします。
たとえば、
1.お母さんの作る料理で、好きなものは何ですか?
2.お弁当の中で何が一番好きですか?
3.嫌いな食べ物が出たらどうしますか?
4.好きな食べ物と嫌いな食べ物を教えてください
5.家族の中で、一番多く食べるのは誰ですか?
6.嫌いなお弁当を食べると、お母さんは何と言いますか?
7.食事中にお父さん、お母さんに叱られることは何ですか?
などです。
今の子どもたちは、コンビにのおにぎりが好きだったり、
ファミリーレストランのハンバーグが好きだったり、
お弁当屋さんのから揚げ弁当が好きだ、と答える子もいます。
しかし、小学校入試でも聞かれる、この食事についてのテーマは、
もっと深いところに意味があると思います。
「料理とは、いったい何なのだろうか?」
次回は、このテーマを考えてみたいと思います。
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